蔵
日本酒には四季がある! 〜涼を呼ぶ夏の酒〜
by 田澤麻里香

日本らしさを象徴するものの1つに、明確な四季の存在があります。四季折々の豊かな食材と、それに合う季節の日本酒を味わう楽しみは、「日本に生まれてよかった」としみじみと喜びを感じる一瞬ではないでしょうか。
例えば、桜前線が北上してくる季節には「春酒」。この時期には、日本酒のボトルデザインも桜を描いたものや明るいピンク色などが使われることが増えます。近年では、ラベルのデザインだけ出なく、ピンク色の濁り酒なども登場し、春の訪れに感じる日本人ならではの高揚感を盛り上げてくれます。
夏には、さらっと喉ごしの良い冷酒。すっきりとした飲み口の夏酒は、刺身やきゅうり、冷奴など、さっぱりとした料理の増える夏の食卓に無理なく寄り添ってくれます。こちらも進化をしていて、近年では白ワインと同等レベルの低アルコールのとても飲みやすい夏酒が登場してきました。
暑さが一段落した秋には、「ひやおろし」。日本酒は、出来上がった後に蔵内で保管している間にも、熟成が進みます。熟成が進むことで、味ののってきた秋酒は鍋料理や秋の香ばしい焼き魚にもよく合います。少し肌寒くなってくれば、人肌燗、ぬる燗などは五臓六腑に滲み入る美味しさです。秋の夜長はついつい日本酒が進んでしまいますね。
木枯らし吹く11月からは搾りたてのフレッシュ感溢れる新酒が登場。出来立ての生酒は微発泡であることもあり、新酒ができた喜びを生酒で楽しむもよし、火入れされた日本酒を熱燗にしてじっくりと味わうもよし。雪見酒で冬を満喫するのもいいですね。
〜涼を呼ぶ夏の酒〜
清涼感を求めて、ビールを飲む機会が増える夏。暑くなってくると私のような日本酒党でもビールの誘惑に勝てないこともしばしば。なんと言っても、キンキンに冷やしてぐいぐい飲んだ時の爽快さと炭酸の心地よい刺激が夏のビールの最大の魅力です。アルコールも5%台なので悪い酔いしにくいのがいいですね。
しかし、近年佐久の蔵元が趣向を凝らして醸しあげた夏酒も負けてはいません。夏にぴったりのサラリと楽しむ冷酒と一口に言っても、その味わいは様々。飽きることなく夏酒を楽しめます。
例えば、
- 夏の「さあ食べよう!」を後押ししてくれるシュワシュワ・スパークリングタイプの食前酒
- 「スッキリしているのにちゃんと味わえる」を実現しているバランス抜群の夏酒
- 酸度が高くリンゴやマスカットのような果実味と爽やかさを感じ、白ワインのようなスッキリした味わいのモダン夏酒
写真は、過去にKURABITO STAYが企画した「日本酒とフレンチのペアリング」におけるデザートの一皿。若きフレンチシェフがモダン夏酒に合わせたのはなんと「シャインマスカットとライチのシャーベット」。佐久の夏酒は、日本酒の既成概念の枠を大きく超え、進化している。
いずれも白ワイン程度、及びそれ以下の低アルコールで、食事中を通して飲み疲れない(悪酔しにくい)夏酒です。
涼しげに泳ぐ鯉に蝉、波乗りする白熊?!など、ボトルにも夏らしい趣向が凝らしてあり、目でも夏を楽しんでくださいね!